チューニングの理論
ギター、ベースは正しい音に合わせて弾かないと音感が育ちません。
必ずチューニングをしてから練習を始めるようにしましょう。
タブ譜のポジションだけの練習では、他人(バンド仲間)と合わせて
「音楽」を作ることができません。

※一番下に画像があります

◆チューナーを使う方法
図1の「1弦はE(ミ)、2弦はB(シ)…」に合わせるのが基本です。
ギターの鳴りを考えたりボーカルの声域に合わせて「半音下げ」などという
チューニングも存在しますし、アーティストが半音下げをやっている事も
多いのですが、まずはレギュラーチューニングが完璧にできるようにしましょう。

チューナーを使えば「現在どの音が出ているか」が表示されるので簡単なんですが、
1オクターブ違い等に気づかない事もありえますので、「正しい音を耳で聞いて
覚える」のが必要です。チューナーを使う場合でもギターの音を聞きながら合わせましょう。


◆押弦による方法
5弦だけ音叉などに合わせ、これを基準にギター全体のチューニングをする方法です。
少なくともこの方法をマスターしてください。チューナーを使う場合でも、弦と弦の
音程の違いなどを理解した上で行えば上記のような大きな間違いをする事は無くなります。

一般的にギターのチューニングはA(ラ)を440Hzに合わせると言われてますが、
実際のギターの5弦解放のA(ラ)は110Hzです。音が1オクターブ高くなると周波数が
2倍になるような関係ですので、「音叉の音の2オクターブ下」が5弦解放の音です。
音叉の音に5弦を合わせてからがチューニング本番です。

なおこの「基準」は音叉などの正確なものにして、全員が同じ基準の音に合わせるのが
常識ですが、バンド内にキーボードがあり、チューニングを変えることが困難な場合は
キーボードを基準にします。個人個人がチューナーで合わせるとチューナーの個体差が
あった場合にバンドで音が合っていないという事があり得ます。

押弦による方法は図2の通りで、
・6弦5フレットと5弦解放が同じになるように6弦を合わせる
・5弦5フレットと4弦解放が同じになるように4弦を合わせる
・4弦5フレットと3弦解放が同じになるように3弦を合わせる
・3弦4フレットと2弦解放が同じになるように2弦を合わせる
・2弦5フレットと1弦解放が同じになるように1弦を合わせる
もちろん、最初に合わせた5弦を動かしてはいけません。
なお、2本の弦の音が合ったかどうかは、「歪み系エフェクター」をかけていると
わかりやすくなりますので、オーバードライブまたはディストーションを使用した状態で
やってみましょう。2本の音が近くなると「ぅわんぅわん」といううなり(音の揺れ)が
聞き取れるようになります。近づくほどうなりが遅くなり、合うとうなりが無くなります。
※エフェクターは歪み系のみ使えます。コーラスなどのモジュレーション系や空間系の
ものは音程を変える効果があるので、絶対にチューニングが合いません。


◆ハーモニックスによる方法
ハーモニックスとは、「フレット上で弦に触れて音を鳴らす」事で、弦の揺れ方が図4の
ようになります(図4は7フレットハーモニックス)。
ピックを当てる部分は、この図の揺れが一番大きな所がベストです。
7フレットの他に節になっている部分がありますが、ここは19フレットです。
7フレットハーモニックスで19フレットピッキングだとまともな音は鳴りません。
※以下、この項で「○フレット」は「○フレットハーモニックス」を表します。

開放弦を鳴らすと図4の青い線のように両端を固定されて弦の全長を使った振動になります。
7フレットは全長の1/3の長さの部分にあり、ここに触れて振動させると赤い線のような
振動になります。この音は「音の周波数」が開放弦の3倍になり、5弦であれば解放の
1オクターブ上の、さらに上のE(ミ)になります。5フレットだと長さ1/4(周波数4倍)
なので、解放の2オクターブ上になります。6弦5フレットと5弦7フレットが全く同じ
E(ミ)であることを利用し、各弦のチューニングをしていきます。

5弦を基準に合わせるのは押弦によるものと同じです。まず5弦を合わせましょう。
・6弦5フレットと5弦7フレットが同じになるように6弦を合わせる
・5弦5フレットと4弦7フレットが同じになるように4弦を合わせる
・4弦5フレットと3弦7フレットが同じになるように3弦を合わせる
・6弦7フレットと2弦解放が同じになるように2弦を合わせる
・5弦7フレットと1弦解放が同じになるように1弦を合わせる

この方法によると、押さえたときの誤差(チョーキングのような状態)が無いので、
押弦による方法より確実に合います。また、2本の弦を離したまま音が伸びますので
「音を鳴らしたままペグを回す」事が可能です。
また、基準の5弦から一番離れたのが「孫」ですので、押弦による5弦から1弦の玄孫に
比べて誤差の入る機会が少ないです。

なお、12フレットは全長の半分、24フレットは全長の1/4になっています。
この「全長の整数分の1」の長さにあるフレットでハーモニックスの音が鳴らせます。

◆ベースのチューニング
ベースはギターの3〜6弦の、1オクターブ下の音が出るようになっています。
合わせ方はギターと同様で、3弦(ギターの5弦の1オクターブ下)をA(ラ)に合わせてから
他の弦を合わせます。

◆チューニングをしたのに合っていない!
これはトレモロアーム付きのギター(ストラトキャスター等)や、テンションの高い
ベースで起こりやすい事です。
ペグを回す事で弦のテンション(張力)が変わりますので、ブリッジが浮いてきたり
ネックが反ってきたりする事があります。こうなると、弦長が変わってしまうので、
再度チューニングをやり直さなければなりません。特にアーム付きギターは上記の
チューニングを3〜4回繰り返さないと正確に合わせることができません。
面倒だと思いますが、正確な音にしなければ「音楽」になりませんので、頑張って
チューニングするようにしてください。